| 講師 | ファブリス・ヴァレイユ氏 (駐日欧州委員会代表部 政治経済部長) |
|---|---|
| 司会 | 中村英俊 准教授 (EUIJ早稲田副代表、早稲田大学政治経済学術院) |
| 日付 | 2009年10月14日(水) |
| 時間 | 18時30分から20時 |
| 場所 | 駐日欧州委員会代表部 |
| 言語 | 日本語 |
| 備考 | 参加者: 10名(国会図書館立法スタッフ。他、代表部から5名、EUIJ早稲田から4名参加) |
1. 開会の挨拶等
まず、中村英俊准教授とニコラオス・ザイミス駐日欧州委員会代表部通商部長から開会の挨拶があった。そして、参加する国会図書館立法スタッフ10名の自己紹介が行われ、その後、ファブリス・ヴァレイユ氏による『EUとは何か』と題するプレゼンテーションが始まった。
2. プレゼンテーション
(c)EC/N Kawaguchi
① EUの概要とリスボン条約後のEUEUは複数の側面を持つ。それは、法共同体であり、単一市場であり、通貨連合であり、加盟国の主権のプールである。そのEUは、平和と安定、安全、経済的繁栄と社会的連帯を目的に、多様性の中の統合を志向する。その統合は、リスボン条約の前文がいう普遍的価値、すなわち人権、自由、民主主義、平等、法の支配の共有が可能にする。EUの主要な機関は、欧州委員会(EC)、欧州議会、欧州連合(閣僚)理事会、欧州裁判所、欧州会計検査院の5機関であり、立法機関は最初の3つである。EUは、少なくとも経済と開発援助の政策領域において、明らかにグローバル社会における1つのアクターである。
EUのすべての加盟国が、国民投票あるいは議会決議を通じて、今後のEUの憲法的な枠組みとなるリスボン条約を承認した。リスボン条約後は、全会一致ではなく多数決ルールが採用される政策分野が拡大する。例えば、気候変動とエネルギー政策、司法・警察協力、国境管理、テロとの闘いについてである。また、リスボン条約により、EUに「外務大臣」に相当するポストが創設され、"EC Delegation"は"EU Delegation"になる。これまで国家主権が大幅に留保されてきた外交・防衛の分野においても、EUは第三国にとってより対等なアクターになる。
② EUと日本の協力
先に述べたEUの基本的価値を共有する日本との関係を、EUは重視している。2001年に採択された行動計画は『われわれの共通の未来のために』と題され、日本とEUが、共に平和と安全を促進し、経済・貿易のパートナシップを強化し、グローバルな社会問題に対処し、人びとと文化を橋渡しすることを目指すと宣言した。これは2011年に改訂される予定である。東アジア共同体を志向する日本の新政権との間で、より親密な関係を築けることを期待している。
特に、気候変動との闘いについて、鳩山首相の示した温室効果ガス25%削減目標を歓迎している。また、金融危機への対応についても、銀行間取引市場の流動的資産の回復や大規模な財政支出による経済の刺激、貿易障壁の除去と保護主義の阻止等、協力できる政策がある。さらに、EUの民間外交(public diplomacy)として、日本の人びとのEUに関する理解を深める協力を求めてきた。EUは、EUIJに、日本社会におけるEU教育とアウトリーチの促進を期待している。
3.質疑応答等
(c)EC/N Kawaguchi
外交・防衛分野で、欧州委員会(EC)が今後どんな役割を果たすか、そしてEUと日本がシヴィリアン・パワーとしてどんな貢献ができるか、という質問があった。これに対し、ヴァレイユ氏は、リスボン条約後、ECの副委員長(Vice President)が、外務閣僚理事会の上級代表(High Representative)として議長を務め、先に述べたEUの「外務大臣」としての役割を果たすことを挙げ、ECの影響力が増す可能性があることを示唆した。また、2つ目の質問に対しては、アフガニスタンでの医療・福祉分野におけるEUの、また武装解除と良いガバナンスに対する日本の貢献を確認した。加えて、日本のパレスチナにおける貢献について、中期的な経済発展支援に留まらず、EUが重視している、人びとの日々の基本的ニーズの充足に協力することを期待すると述べた。「持続可能な発展」について、リスボン条約はどう言及し、EUは具体的に何を行うか、という質問があった。これに対しヴァレイユ氏は、リスボン条約の中で、「持続可能な発展」は重要な価値として扱われていると述べた。地球温暖化については、目標としての低炭素社会、すなわち温室効果ガスの削減、代替エネルギーの利用が、公共交通政策、流通政策、農業政策、漁業政策、研究開発政策などによって追求されることになる、と述べた。最後にヴァレイユ氏は、EUに関して必要な情報があれば、いつでもできる限り照会に応じると参加者に述べた。また、EUと日本の協力関係の発展を期待しつつ、次回はより個別具体的な政策領域に絞り、このような会を持ちたいと締めくくった。その後、中村准教授が発題者のヴァレイユ氏と参加者に謝辞を述べ、本勉強会は終了した。




