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佐倉市国際文化大学 「日本の食は本当に安全か」

講師 福田耕治 教授 (EUIJ早稲田代表、早稲田大学政治経済学術院)
日付 2009年7月4日(土)
時間 13時30分から15時30分
場所 千葉県佐倉市中央公民館
言語 日本語
備考 佐倉市国際文化大学における講義

 本日の講義は、平成2年(1990年)に開講された佐倉市国際文化大学におけるものである。同大学での講義は市民ボランティアにより支えられるが、その受講生総数は1,600名を超え、充実した講義内容と受講者の関心の高さには定評がある。

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福田教授は、EUの食品安全政策と比較しながら日本の食の安全性やその政策の独自性を述べた。そもそも日本の食料自給率は低く、諸外国からの輸入に依存するため、その安全性に神経質になる。

 欧州では各国レベルで40年以上に亘り食品規制が実施されてきたが、鶏肉・卵のダイオキシン汚染問題やBSE(狂牛病)問題をきっかけに、安全対策が強化されている。EUレベルでも、たとえば、食品の生産者が「その食品が安全である」ことの証明責任を負う立証責任規則があるほか、リスクを人間がコントロールするという考えにもとづくリスク分析の原則が確立されている。欧州では、リスク評価を行うのは専門家からなる独立の欧州食品安全庁(EFSA)であり、その運営委員には消費者、生産者の代表が入っている。安全性について、「危ないかもしれない」なら「危なくない」という事が科学的に実証されるまで人間に近づけない、とする「予防原則」の考え方や、後の世代への影響の可能性までも考慮に入れる中長期的な視野に立っていることも、EUの特徴といえる。
 この食の安全の問題は、予防原則に基づく貿易措置がノンタリフバリアー(非関税障壁)としてWTO(世界貿易機関)に提訴されるなど、自由貿易との兼ね合いでも問題となっている。また、遺伝子組換え食品(GMO)である大豆やトウモロコシの安全性についても、予防原則の観点から国際的な議論が生じている。食の安全のためには、農場から食卓までのプロセスを追跡できるようトレーサビリティ(追跡可能性)を確保し、また、残留農薬の基準やその副作用などの情報を消費者に提供することによって透明性を確保していくことが重要である。

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 日本では2000年7月に、内閣府内に総理大臣直轄で食品安全委員会が設置された。これは、欧州食品安全庁をモデルとしたものである。日本における食の安全に関わる事件は、環境汚染や製造工程における汚染、農薬残留等、これまで様々に生じているが、常に国内産が安全で海外産が危険であるとは限らない。
 今後の課題として、日本はCODEXのメンバーとなり、国際的な安全基準制定の際に、日本としての意見を提示していくべきだろう。また、生産者と消費者の情報格差を解消するべく、EUと同様に生産者に立証責任を課すことや、新技術や新しい食品添加物使用の際には、内外の科学的知見の蓄積も必要である、と論じた。

 以上の講演の後、会場から活発な質問が行われた。福田先生が日常の食生活で注意されていることは何かとの質問には、ラベル表示を確認すること、食品の原材料表示を確認すること、消費者が販売店に意向を伝えたり質問したりして安全な食品を扱う店にしていくこと、との回答がなされた。また、農作物の大規模工場生産と安全性との関わりについては、大規模化や工場化が総ての業種によいとは言えず、分野毎に十分な検証を行いつつ、ケースバイケースで考えるべきとの回答が行われた。勉強熱心な受講者の多い、充実した講演会であった。