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【シンポジウム】東日本大震災からの復興と財政再建-欧州の経験から学ぶ

講師 尾立源幸 参議院議員・前財務大臣政務官
林芳正 参議院議員・元内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
ポール・ハンター 英国大使館経済部部長
レネ・ダイグナン EU代表部政治経済部シニアリサーチャー
司会 若田部 昌澄 教授(早稲田大学政治経済学術院)
日付 2011年10月17日(月)
時間 15時00分から17時15分
場所 早稲田大学 早稲田キャンパス 小野講堂
言語 日本語・英語 (同時通訳)
備考 70名


尾立源幸 参議院議員・前財務大臣政務官 Ppt資料はこちら

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尾立議員は、政府与党の立場から、日本の財政・社会保障費の現況と政府の中長期的な財政再建策、復興財源の確保に関し講演を行った。税収が、平成2、3年頃をピークに減少傾向にある一方で、歳出と公債発行額が年々増加してきている。社会保障給付費に占める、公費(税収+借金)による補填の割合と額も年々増大している。1965年には、現役世代と高齢者の割合は1対9であったが、2011年には現役世代1人が2.5人の、2050年には1.2人の高齢者を支えるという厳しい状況が待ち構えている。

政府は、財政健全化のフロー目標として、2015年までにプライマリー・バランスの対GDP比を黒字化し、2020年までにプライマリー・バランスを黒字化する目標を掲げている。また、ストック目標として、国・地方の公債等残高の対GDP比を安定的に低下させる。復興・B型肝炎対策財源スキームのうち、19兆円が復旧・復興対策費に、3.2兆円がB型肝炎・年金財源に充当される。議員定数削減、公務員宿舎の売却、公務員の人件費削減をまず行った上で、所得・法人付加税、所得控除の見直し、たばこ増税などにより、国税10.4兆円、地方税0.8兆円を確保する税制措置を取る。


林芳正 参議院議員・元内閣府特命担当大臣(経済財政政策)

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林議員は、自民党の立場から、財政再建と社会保障費・復興財源の確保に関し講演を行った。財務大臣は、閣議で決定された財政再建計画をG7、G20の場で公約した。これをどう達成していくかが問題である。財政再建のためには、ODA、公共事業といった、分野ごとで、具体的かつ長期的な歳出削減計画の策定を義務付ける必要がある。小泉内閣は、各方面からの厳しい反対に遭いながらも、2006年に骨太の方針を策定した。2011年までの分野別削減を規定し、大きな歳出削減を成し遂げた。消費税を社会保障費にどれくらい充てるのかという問題もある。

自民党はたばこ増税に反対である。たばこの税率は昨年引き上げられたばかりであり、消費される本数が大きく減れば、たとえ税率を上げても税収は増加しないためである。
震災からの復興を可能な限り短期で成し遂げつつ、その財源を現在と将来の世代間でどう負担していくかという問題がある。復興債に関しては、何年で復興するかと償還するかは別であり、上手く設計すれば、それほど大きな影響はないと考える。復興財源は、一般会計に影響を及ぼさない形で確保する必要がある。復興と成長をどうリンクさせるか、といった課題も重要である。

デフレギャップを少なくし、需給のバランスをはかる金融政策が求められる。デフレの下での財政再建は厳しい。インフレ基調で成長を促進させ、財政の健全化を図るという、風邪を治した上で、引きにくい体質を作っていくような財政再建策が必要である。

ポール・ハンター 英国大使館経済部部長 Ppt資料はこちら

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ハンター氏は、イギリスの財政再建に関して講演を行った。イギリスでは、歳出の内、社会保障費が2000億ポンドで最大であり、歳入では、付加価値税(VAT)が、所得税などに次いで第3位で、1000億ポンドを占めている。財政赤字は、G7諸国の中で第2位であり、日本よりも高いが、イギリスの国債の格付けはAAAであり、アメリカよりも良い。財政再建を達成するために、Office of Budget Responsibility(OBR)が新設された。OBRは、財政目標達成の予測と評価を行う独立した機関である。イギリスは、企業が事業を展開することが容易な環境の整備に努めており、世界銀行やOECDといった国際機関から高く評価にされている。

2011年1月には、消費税が17.5%から20%に引き上げられた。また政府の効率性を向上させるために、意思決定の権限が中央から地方へ移され、政府の予算と人員の削減が行われている。2011年の第二期のGDP成長率は0.2%に止まったが、OBRによると2011年以降の経済は2.5%~2.9%の水準で堅調に成長していくことが予想されている。


レネ・ダイグナン EU代表部政治経済部シニアリサーチャー

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ダイグナン氏は、EUによる金融・財政危機への対応に関し講演を行った。最近、メディアは、ユーロ、EU、ギリシャ、アイルランド、PIIGS諸国にまつわる、ショッキングかつ悲観的な見出しで賑やかである。だが、例えば、スペインのGDPに占める債務残高は50~60%程度で、日本より低い水準となっている。今回の危機はとてつもないものであり、ユーロ創設以来最大の危機であるが、ユーロが経済成長と物価の安定において、長きに渡り成功を収めてきた事実を忘れてはならない。

危機に対応するため、欧州財政安定ファシリティー(EFSF)や、ヨーロッパ安定メカニズムが整備された。ギリシャ・アイルランド・ポルトガルの問題が明るみになったことで、むしろそれらに取り組むことが可能になったといえる。ベイルアウトは、実際には高利率でのローンであることを正しく認識するべきである。

現在行われているのは、EUで最も競争力の弱い経済の改革であり、経済的支柱を抜本的に強化しようとしている。ユーロ圏の指導者たちは、調整に基づいた、断固たる行動と措置を取っている。ユーロは政治的プロジェクトの中核であり、問題のリストではなく解決策の一部である。

司会:若田部昌済 早稲田大学 政治経済学術院 教授

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講演の後、若田部教授の司会の下、フロアから集められた質問票をもとに、パネリストによるディスカッションが行われた。講演の内容を敷衍し、掘り下げる形で、財政再建の手法・手順、税収が上がらない原因、インフレ・バブル・デフレと財政再建の関係等に関して、具体的な議論が深められた。

文責:早稲田大学大学院 政治学研究科
 博士後期課程 齋藤亜紀人







パネルディスカッションの様子
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