| 講師 | ヨリス・デミンク氏 (オランダ法務省事務局長) |
|---|---|
| 司会 | ポール・ベーコン准教授 (EUIJ早稲田副代表、早稲田大学国際教養学術院) |
| 日付 | 2009年3月31日(火) |
| 時間 | 14時30分から16時 |
| 場所 | 早稲田大学 26号館多目的講義室 |
| 言語 | 英語 |
| 備考 |
まずモデレーターのベーコン教授から、本イベントのスケジュールが示され、次に中村英俊EUIJ副代表(早稲田大学政治経済学術院准教授)から開会の辞が述べられた。中村准教授からは、EUIJ早稲田が日本国内で唯一、1大学で組織されるEUIJであること、その主要な活動であるアウトリーチ活動の一部としてこの講演会が位置づけられること、またこの講演会がEUIJにとって最初の重要なイベントであることなどが紹介され、デミンク氏の講演に移った。

デミンク氏の講演は、刺激に富む3つの議論から成り立っていた。第一は、人権の普遍性、第二は地域的な人権保障システムの重要性、第三はアジア地域の人権保障システムの構築に日本は主要なイニシアティブを発揮すべきだとの主張だった。
第二の点について、デミンク氏は欧州理事会に締結された欧州人権条約(1950年)と同条約に基づく裁判所(欧州人権裁判所)が欧州の地域的な人権保障システムのコアであり、このシステムが個人の申し立てを認めていることが、システムをよりよく作動させているといった。このシステムは他地域の人権保障システム、すなわち米州国際裁判所を設置する米州人権条約、アフリカ人権裁判所を設置するアフリカ人権憲章の手本となっていると述べた。

質疑応答に入る前に、デ・ヘール在日オランダ大使が、早稲田大学内で開催された人権エッセイコンテスト(「国際社会の多様な成員は、人権を守るためにどんな責任を果たしうるか」)の入選者に対し、記念品を授与した。記念品が授与された3名の氏名は次の通り。
- 第一位: Wonsuk Kim
- 第二位: Mio Shindo
- 第三位: Makoto Seta
この3名と、彼らのエッセイに匹敵する水準のエッセイを書いたその他7名は、デ・ヘール大使により、大使館での夕食会に招かれた。
その後、デミンク氏に対する質問がフロアーに開かれた。質問は、デミンク氏の第一の主張である人権の普遍性と、地域の人権保障システムの構築に日本がイニシアティブを果たすべきだとの第三の主張に集中した。
前者の人権の普遍性に関しては、インターナショナル、リージョナル、ナショナルの3レベルの人権に関する見解は異なりうるのではないか、国連と欧州の諸条約に現れた人権観はアジアのそれと異なるのではないか、リージョンの境界は、人権に関する見解にそって引かれるべきかなどといった質問が出された。これらについてデミンク氏は、国際人権諸条約に掲げられた人権のリストは、時間や場所に文脈付けられ解釈され、その発現形態は多様であって当然だと回答した。その上で、それでも重層的な人権保障システムは、グローバルに、時間をかけてでも構築されなければならず、またされるはずだという見解を示した。
後者の日本の役割に関しては、デミンク氏がなぜ日本が地域的な人権保障のリーダーになるべきと考えるのかが問われた。これに対しデミング氏は、まず日本が日本国憲法にもあるように人権という価値に長く深く関与してきたからであり、またそれにふさわしい経済力を持っているからだと述べた。日本がアジア地域で人権保障システムを構築するイニシアティブをとるべきだとの主張は、一般的にも自然なことだろうし、日本はそうすべきである。そして、日本がそのようなイニシアティブをとるよう欧州諸国は励ますべきである、と質疑応答を締めくくった。

最後にベーコン准教授から、デミンク氏とデ・ヘール大使に対し、重要で示唆に富むスピーチと記念品の提供についてそれぞれに謝辞が述べられた。また、EUIJ早稲田は大学の機関として、人権などグローバルに共有される価値を考えるための刺激を学生に与えていきたいとも述べられ、また今回のイベントはそのような性格を持つものだったと本イベントは締めくくられた。




