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ルイス・マリア・ドゥ・プーチ 欧州評議会議員会議議長 「欧州評議会の活動と今後の課題」

講師 ルイス・マリア・ドゥ・プーチ 欧州評議会議員会議(PACE)議長
通訳 建石真公子教授 (法政大学法学部)
日付 2009年11月11日(水)
時間 10時から12時
場所 早稲田大学 8号館3階大会議室
言語 仏語(仏-日本語逐語通訳)
備考 主催:早稲田大学比較法研究所
共催:EUIJ早稲田・外務省

Council of Eu_Credit.jpgドゥ・プーチ氏の講演は、ご自身の学者・教育者の職歴もあることに触れながら、本日の講演の中では対話を重視したいとの意向を述べられた上で、欧州評議会の組織の特徴を、EUとの違いに触れながら語ることから始められた。
 欧州評議会は、人権保障の確立、とくに人権、民主主義、法の支配の分野で、国際社会の基準策定を主導する加盟国47カ国による国際機関であり、多元主義と対話をその基本理念とする。欧州評議会は1949年に設立され、2009年で創立60年を迎える組織である。EUが、加盟27カ国におけるすべての領域において統合を進める方向に向かっているのとは異なり、欧州評議会は、旧社会主義国を含めて原則としてすべての国を受け入れる。例外はベラルーシ共和国であるが、非加盟の理由は死刑制度を存続させているなど、加盟資格を満たしていないことによる。
 扱っている問題は、平和、環境問題、国際犯罪など多岐にわたる。最近の事例を紹介するならば、ロシア・グルジア問題、環境問題がヨーロッパのハーグにある国際刑事裁判所で国際的な犯罪として扱われる用意をしていることなどがある。
 日本も、閣僚委員会オブザーバー国5カ国(米国、カナダ、メキシコ、バチカン、日本) の1つであり、1974年以来、毎年9月に開催される「OECD活動拡大討議」に議員を派遣している。憲法の問題を扱うヴェニス委員会においても、日本はオブザーバー参加をしており、その他もっと多くの通常セッションに積極的にかか
わってほしいと思うし、また、日本から欧州に出向くだけでなく、欧州から日本にきていろいろな交流ができると考える。
 欧州評議会が取り組む問題のひとつに、死刑制度廃止問題がある。人の生命を奪う不可逆性の視点や人道主義的観点、死刑制度撤廃後に犯罪発生率の変化がないことから死刑の犯罪抑止論の正当性を疑う視点、世論によって決められるべき問題であるのかなどの見方があるが、いずれにしても日本の社会において、自由な討論を通じて議論を深めていただきたいと願う。

 以上の講演の後、質疑の時間に移ると、「世界人権宣言とヨーロッパ社会憲章における基本的人権における違い」「EUと欧州評議会で重複している政策と分離している政策は何か」「リスボン条約発効による欧州評議会の対応変化」「ベラルーシ共和国はなぜ加盟を許されないのか」「死刑制度廃止に向けてどのような取り組みを行っているのか」などの、興味深い質問が次々に提起された。
 本講演は、ヨーロッパ人権条約およびそれによって設立された欧州評議会の活動に関するものであり、EUそのものを対象としたものではない。しかし、そこではEUを包含する欧州全体の理解や考え方、EUが共有する基本的人権の自由権や社会権への考え方や取り組みについて詳細かつ有益な議論がなされ、EUに対する理解を深めるたいへん有意義な講演会であった。聴衆には、研究者、大学院生、学部生が含まれ、質疑の時間も想定以上に伸び、対話を重んじる大変に充実したものであった。