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第一回EUセミナー 「日本とEUのEPA: グローバルなFTAの動向との関連で」

講師 寺田 貴 教授 (早稲田大学アジア研究機構)
司会 中村英俊 准教授(EUIJ早稲田副代表、早稲田大学政治経済学術院)
日付 2011年3月22日(火)
時間 19時から21時
場所 霞山会館
言語 日本語
備考 ディスカッサント:曽根 健孝氏 (外務省欧州局国際経済課長)
協力:外務省欧州局政策課、経済局国際経済課

アジア太平洋地域でFTAによる地域統合が進められている中で、日本では、EUとFTA交渉を推進するべきであるという機運が高まっている。そうした中で、寺田教授は、(1)EUFTAの傾向、(2)日EUFTA、(3)韓EUFTAの意義、(4)TPPがもたらすEUへの影響などについて講義し、ディスカッサントである外務省経済局の曽根健孝国際経済課長からコメントを受けた。その後、セミナー参加者を交え、質疑応答が行われた。

(1) EUFTAの傾向
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 2006年10月、EUは、EUの通商戦略を規定した『グローバルヨーロッパ』を発表した。その中で、EUは、FTAについて最大の紙面を割き、市場規模、成長潜在性、保護水準の高さなどを考慮して、二国間関係を精査し、アジアでは、インド、韓国、ASEANとFTAを結ぶことを優先事項とした。またEUは、停滞するWTO交渉を憂慮し、FTA戦略の中で、WTOプラスの規律を導入すること、ガット24条との整合性を取ること、包括性を重視することを打ち出した。これらEUが重視する国(地域)は、米国と既にFTAを結んでいる。重要貿易相手国である日米などは、既に関税が低いことから、EUはFTA交渉をすることへの関心を示していなかった。だが、日本のTPPへの関心が、EUとのFTAを誘発している。

(2) 日EUFTA
 2007年6月、日EUビジネス・ダイアローグ・ラウンドテーブル(BDRT)において、経済統合協定(EIA)タスクフォースが設立された。日本は野心的なプログラムを入れる一方で、EU側は、日本に関税撤廃を求めず、政府調達などの改善を訴えた。EUは対日貿易赤字であると同時に、EUの対日輸出の7割が既に無関税であるため、日本の関税撤廃や削減だけでは、EU側のメリットは小さい。

(3) 韓EUFTAの意義(自動車の場合)
 起亜自動車と現代自動車は、完成車を韓国本国から輸出している。EUは、完成車に対して10%、自動車部品に対して4%の関税をかけているが、韓EUFTAによって、EUは、5年で自動車本体の関税をゼロ、自動車部品は発効時に即時撤廃する。一方、日本の自動車輸出数361万台のうち、68万台が欧州向けである(2009年)。例えば、欧州向けが全輸出の3割を占めるマツダは、韓国自動車メーカーと競争することの不利を訴え、日EUFTAの早期締結を求めている。しかし、日本にとっては、日本の自動車安全基準を、欧州側に合わせるかどうかなどが課題となる。

(4) TPPがもたらすEUへの影響
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 日本は、TPPにおいて農産物を譲歩することが求められるが、EUからは、非関税障壁を譲歩することが求められる。EUは、共通農業政策で自国の農業を保護していることから、日本が懸念する農業分野にはあまり触れていない。日本にとって、米国の関税が既に相当低いことから、米国とFTAを結ぶよりも、EUと結んだ方がメリットは大きい。一方で、安全保障、食料、資源などの観点から、日本がTPP交渉に参加する意義は大きい。日本がFTA交渉を多角的に進めることは重要であるが、WTOドーハラウンドへ積極的に関与することが肝要となる。

ディスカッサント(曽根健孝・国際経済課長)からのコメント
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 日EUFTAは、EIAという言葉で共同検討作業が進められている。EIAは、関税のみならず、非関税障壁など幅広い分野をカバーしている。EUは、EPAという表現を、主に途上国との間で用いていることから、日本のような先進国との場合はEIAと表現している。実利という意味で、自動車や液晶テレビなどの関税が高いEUとのFTAの締結は、TPPよりも大きい。これまでもEUと日本は規制改革対話を行ってきたが、EUが求める日本の規制改革は進んでいない。しかしながら、2010年11月に、政府は「包括的経済連携に関する基本方針」を示し、行政刷新会議などにおいて規制改革の論議が進んでいる。2011年5月の日EU首脳協議で、「交渉入り」の合意を目指している。


文責:早稲田大学大学院
アジア太平洋研究科
三浦秀之