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2011年 日EUフレンドシップウィーク シンポジウム 
「新なグローバル秩序に向けた日EU政治協力」

講師 第一部:ハンス・ディートマール・シュヴァイスグート 駐日欧州連合大使 
第二部:マーティン・ホランド 教授(カンタベリー大学) 
     ディスカッサント:舒旻 講師(早稲田大学国際学術院)
司会 中村英俊 准教授(EUIJ早稲田副代表、早稲田大学政治経済学術院)
日付 2011年5月20日(金)
時間 13時00分から16時30分
場所 早稲田大学 早稲田キャンパス小野講堂
言語 日本語・英語(一部逐次通訳)
備考 466名


第一部:3.11日後の日EU関係

シュヴァイシュグート駐日欧州連合代表部大使は、(1)これまでの日・EU関係の評価、
(2)3月11日の大震災後の日・EU関係への影響、(3)日・EU関係の将来の展望、(4)ギリシャの財政危機後のヨーロッパについて講演を行った。

日本は確かに変わったが、日本を取り巻く状況の方が劇的に変わった。とりわけ中国の台頭には目覚ましいものがある。予想よりも早い2010年に、中国は経済規模で日本を追い抜き、世界第2位に躍り出た。EUにとって中国は、米国に次ぐ最大の貿易パートナーになり、日本は今では6位である。だが、合わせて世界経済の30%を占める、日本とEUの影響力は極めて大きい。日本では政治の顔が自民党から民主党へと移り、EUでもリスボン条約の制度改革により、欧州議会常任議長、安全保障上級代表が新設され、バローゾ委員会も再発足した。日本の各紙は自由貿易協定にのみ関心を寄せているが、ヨーロッパは政治協力の強化をも盛り込んだ、より包括的で、より深い協力を目指したいと考えている。具体的には、通商・投資だけでなく、平和創造、PKO、地域の安全保障での協力も強化していきたい。

日・EUサミットに表れる、3.11の震災後の日・EU関係については、「注意深く楽観的」にみている。日本とEUは、民主主義、市場経済、基本的人権、法と秩序といった共通の価値を有している。3.11の大地震後の日・EU関係においては、強固な連帯の感情が芽生えた。日本国民の団結の力に感銘を受けるとともに、日本とEUの強い結束の力を確認するに至った。EUにとって日本は戦略的なパートナーであるだけでなく友人である。震災の2週間後には、ゲオルギエヴァ人道援助担当欧州委員が被災地を視察した。また、閣僚理事会議長とファン・ロンプイ欧州議会常任議長より日本政府にお見舞いの電報が送られた。経済分野において、日本とEUの間にはいくつかの点で差異が横たわるものの、EUは特に政府調達・投資について公正かつ開かれた経済環境を追求していきたい。そのためにできることはまだまだ多い。

EUは、EPAに政治分野での協力も盛り込んで包括的なパートナーシップを締結したいと考えている。福島での出来事を契機に原子力の安全利用への関心が高まったが、拘束力を有する協定はまだ存在していない。災害対策での協力も重要である。その他、いくつかの具体的な協力の領域として、EU主導のソマリアでの海賊対策プロジェクト、大量破壊兵器の不拡散、アフガニスタンでの活動、国連人権委員会、刑事協力、地球温暖化、エネルギー安全保障などがある。また、日本とEUは同様の問題に直面している。例えば、急速に高齢化が進展する社会において、社会保障のネットワークの財源をどう確保していくかといったことがある。

経済危機後の状況に関しては、ギリシャで発生した危機は、ポルトガルアイルランドにも波及するに至った。だが、他の先進国に比してまだ好ましい状況である。ユーロは欧州統合のメルクマールであり、不可分な構成要素でもある。求められているのは、ユーロ圏の解体ではなく新たな制度の創設に基づく欧州統合の再強化である。主権の一部喪失は欧州統合の不可避な帰結であり、ユーロ加盟国は互いにより協力を深め、政策協調を図っている。より強靭なヨーロッパは日本にとっても利益である。ヨーロッパはより強くなって立ち直り、新たな政治的意思の下で、共通の利益を強化する。日本とEUには多くの共通の利益と機会が横たわっており、違いは極めて少ないといえる。


第二部:EUの可視性と広報外交:アジア太平洋地域における認識

ホランド教授は、アジア太平洋地域におけるEUに対する認識について講演を行った。講演は、カンタベリー大学国立欧州研究センターのチャバン博士とホランド教授がリーダーを務める大規模なプロジェクトに基づくものである。研究チームには15の東アジアと東南アジアの著名な大学から構成され、日本からは慶應義塾大学と早稲田大学が参加している。

このプロジェクトは、メディアの内容分析(2004-10年の13,351のニュース)、世論調査(2004-10年に5,619人)、ビジネス・政治・メディア・市民社会のエリートへの対面インタビュー(2004-10年に425回)から構成される。EUの可視性は一般的に低く、最も多く取り上げられているのはビジネス紙であり、中国とインドネシアを除き、殆どゴールデンタイムのテレビ番組で取り上げられることはない。

世論調査ではEUといえばユーロをイメージする市民が多いことがわかった。また、アメリカと中国をEUよりも重要なパートナーとして挙げる市民が多かった。加えて、インタビューにおいても、EUよりもアメリカや中国ロシアといった国の方が重要であるという認識が高かった。また、EUは、経済的には重要なアクターだが、軍事的にはそうであるとはみなされていないことも示された。

EUは、主要には経済的アクターとして取り上げられているが、他方でEUの活動の多面性を評価する動きも出現しつつあった。教授は、アジアにおけるEUの認知度を上げるための方策として、ユーロをパブリック・ディプロマシーの手段として活用すること、「EUの代表」としての上級代表と対外活動庁が「一つの声」を発すること、EU研究の学位を発展させ、欧州統合について学ぶ機会をアジアの大学のカリキュラムで促進することなどを示した。

EUのグローバルな役割について域外諸国の期待が向上するのなら、政治的にも、経済的にも、また環境の分野でも、社会的にも、あらゆる面でEUの能力がその期待に一致するものでなければならない。ホランド教授は、ヨーロッパが国際的に「失敗している」と認識されれば、EU統合の正統性という考えそのものを危うくさせるであろう、と警鐘を鳴らし講演を締めくくった。

(文責:政治学研究科博士後期課程 齋藤亜紀人)

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開会の辞:貞広現代政治経済研究所所長   大使紹介:福田EUIJ早稲田代表


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第一部基調講演:シュヴァイスグートEU大使

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第二部特別講演:ホランド教授          ディスカッサント:舒講師


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