| 講師 | 植田 隆子 国際基督教大学 教授 |
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| 司会 | 中村 英俊 准教授(EUIJ早稲田副代表、早稲田大学政治経済学術院) |
| 日付 | 2011年10月24日(月) |
| 時間 | 19時から21時 |
| 場所 | 霞山会館 |
| 言語 | 日本語 |
| 備考 | 協力:外務省欧州局政策課、経済局国際経済課 20名 |
講師の植田教授は、2008年7月から本年の3月末まで外務省EU代表部政治安全保障担当次席大使としてブリュッセルで勤務されていた。そうした経験も踏まえ、①グローバル・パワー・シフトとEU・日本、②EUの対外関係の特徴、さらには③「リソースとしてのEU」の側面、などについて講義した。
【講義】
① グローバル・パワー・シフトとEU・日本
EUにとってリスボン条約発効後の初の大国とのサミットの相手は、日本だった(2010年)。EUは国際社会において、「法の支配」や民主主義の価値を強く追求しており、同じ価値を共有する日本に対し、通商分野のみならず、政治面での協力を呼びかけてきた。政治・安全保障面における両者の具体的な協力が、経済・通商分野も含めた今後の日EU関係のさらなる発展のために有益である。ひいては、日EU間の全般的協力強化が日米EU三極協力を補強し、移行期にある国際秩序を安定化させることにもつながる。
② EUの対外関係の特徴
EUおよびEU加盟国との外交を有効に進めるためには、どこまでがEUレベルで共通化されているか、どの部分が加盟国のマターとして残されているのかを、知悉することが重要である。
EUの対外関係分野は、リスボン条約によって大きな制度変更がなされた(例:欧州理事会常任議長および外務安全保障上級代表兼欧州委員会副委員長職の設置、欧州対外活動庁の設置、欧州委員会代表部からEU代表部への改変)。とりわけ、EU外交関係の組織の一元化を目指して欧州対外活動庁が設置されたとことは画期的である。ただし、同庁は人員の充足を含む組織づくりの最中である。
実施の現状における特徴として、EUは「戦略パートナー」との関係強化および、欧州近隣諸国政策(European Neighbourhood Policy)にみられる、地理的に隣接する国々の安定化を図っていることを指摘できる。
③「リソースとしてのEU」の側面
日・EU間の望ましい協力とはいかなるものか。(1)防災・災害救難分野、(2)開発援助分野などでの小規模でも具体的な協力が挙げられよう。前者については、本年5月の日EUサミットで公式に合意され、両者が共有するアジェンダとなった。これは3月の震災以前の段階から、被災した第三国における協力や防災研究を念頭に置いて、日本が提案していたものである。後者については、例えばパレスチナに対する経済・社会的開発において両者の協力が進行中である。
さらに、グローバル・パワー・シフトの焦点であるアジア太平洋地域の国々の行動が、国際社会が認めたルールにのっとったものであり、この地域が「無法地帯化」しないためにも、ルール・ベースの国際社会の運営を掲げる日本とEUとの協力はますます重要になろう。
欧州では、独仏対立を統合によって克服し、CSCEの発足によって東西対立を緩和するなど、「非対称」外交が伝統的に進められてきた。たとえば、軍拡に対して軍拡で対抗すると緊張が増大するため、アジア太平洋地域でも欧州モデル、とくにCSCE/OSCEでとられた「非対称」的な措置が範例となりうるだろう。
【質疑】

質疑では、EUとの外交交渉を進める場合に具体的にどの機関との接触が重視されるのか、との質問がなされた。これに対して植田教授は、EUとしての共通化の度合いが分野ごとに異なること、またEUの組織構造や権限関係が非常に複雑であることを指摘し、結局のところケース・バイ・ケースで対応しなくてはならないと回答した。
文責:早稲田大学大学院 政治学研究科
武井信幸




