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講演会「国際政治のパワーシフトと日本の外交戦略-もはや日本はG8ではない?」
講演者:福山哲郎参議院議員 前内閣官房副長官

講師 福山 哲郎  前官房副長官 参議院議員
司会 村田 信之 EUIJ早稲田 永田町アウトリーチコーディネーター
日付 2011年10月24日(月)
時間 16時30分から18時00分
場所 早稲田大学 早稲田キャンパス 8号館B101
言語 日本語
備考 共催:早稲田大学オープン教育センター
 「国際協力の実践と理論:奥・井ノ上イラク子ども基金連携講座」
183名


111024_title.JPG福山議員は、「世界の中の日本の現在位置と外交戦略」に関して講演を行った。福山議員は、岡田前外相の下で外務副大臣を、菅内閣では外交担当の官房副長官を務められた。ご自身の貴重な外交経験に関するご講演は、具体的で熱意のこもったものであった。近頃、日本の外交的位置に関し悲観的な言説がメディア等で頻繁に取り上げられている。日本は取り残される、アメリカは日本を相手にしなくなる、中国の台頭に伴い日本のプレゼンスは低下している、新興国の台頭が著しい、といった言説をよく耳にする。しかし、外交はすべて相対的なものであり、100か0という問題ではない。また、外交は、相手国とその国民がいる中での最適解を探っていくものである。外交には日本としての「連続性」と、異なる政権間での「断続性」が存在する。この2つを踏まえた上で外交の成果を正当に評価すべきである。
尖閣列島沖での漁船衝突事件では、民主党政権は、自民党政権とは異なり、中国人船長を公務執行妨害で逮捕するという毅然とした国家権力の行使を行った。アフガニスタンへの支援に関しては、民主党政権は、インド洋沖での給油を取り止めた。その代わりに、現在、約70人のJICAのスタッフが、現地で農地再建や国民統合に関する支援を行っているが、このことは国際社会から高く評価されている。また、日本が作成した、対北朝鮮・対イラン制裁決議案はアメリカやEUから高く評価されている。さらに、日本は国連の場で、温室効果ガスの削減やミレニアム開発目標(MDGs)へのコミットメントも強化している。

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首相官邸の日常の業務はメディアで大きく報じられることは少ないが、その大半は外交に関するものである。具体的には、首相と、外国政府の首脳や国際機関の代表との会談が頻繁に行われている。鳩山・菅・野田首相の下では、数多くの会談がもたれ各国首脳との信頼関係が深められてきた。

東日本大震災の際には、日本に対し、163ヵ国と43の国際機関から援助の申し出があった。これらの国の中には最貧国も含まれる。このような国際社会からの日本に対する温かい支援の背景には、日本が途上国において保健衛生、農業支援、水の安全性向上といった問題に長年継続的に取り組んできたという事実がある。厳しい財政状況の下で、ODAの総額を減らすべきだという議論は根強い。だが、エネルギー・資源が国際的に逼迫する中で、相対的に日本の国力が低下している中でこそ、一定額のODAを確保していくべきである。

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EUは国際社会において、加盟国がEUとして一つにまとまることによって、グローバルな規制・規格を策定する上で、非常に大きなプレゼンスを有している。菅首相とEU首脳(ファンロンパイ常任議長とバローゾ欧州委員長)の初の首脳会談は、厳しい雰囲気の下で行われた。日本が非関税障壁の撤廃に取り組んでこなかったという不満からである。だが、その後の4度の会談を経て、日本とEU首脳との信頼関係は大きく深まり、日本とEUはFTAのスコーピングの交渉に入ることができた。

村田講師の司会の下、質疑応答では、時間内では到底答えきれないほど多くの学生が手を挙げた。学生からは、日本の外交的コミットメントがメディア等を通じて国民に十分に伝わらない理由、東日本大震災への対応、事務の官房副長官の役割とそれに対する評価等に関して質問がなされた。福山議員は、質問者の名前と質問内容をメモに取りながら一つ一つ丁寧に質問に答えていた。講演終了後も、講演内では惜しくも指名されなかった学生に対し、ご自身から進んで個別に質問に答えている誠実な姿が非常に印象的であった。

文責:早稲田大学大学院 政治学研究科 
博士後期課程 齋藤亜紀人