• EUIJ早稲田とは
  • 早稲田でEUを学ぶ
  • 講演会・シンポジウム
  • EUとの共同研究プロジェクト
  • EU情報・リンク

【2011年5月16日】新時代の貿易協定とマルチラテラリズム
"Trade Agreements and Multilateralism? : A New Era of the Gun?"

講師 アンドレアス・フォン・シュテヒョー 元駐タイ独大使
討論者 寺田貴 教授 (アジア研究機構)
司会 舒旻 講師 (国際教養学部)
日付 2011年5月16日(月)
時間 15時から16時30分
場所 早稲田大学 小野記念講堂
言語 英語
備考 100名


概要
シュテヒョー元大使は、FTA(Free Trade Agreement、自由貿易協定)、RTA(Regional Trade Agreement、地域貿易協定)などと呼ばれる二国間、多国間の貿易協定の増加と、それに伴う多国間主義の発展及び貿易量の増大を概観し、二国間主義の危険性と自由貿易協定に関する見解を述べた。元大使はまず、貿易をめぐる戦争を幾度も経験してきた人類は、WTOにより紛争防止に向けた最善の一歩を踏み出したが、ようやく手に入れたこの多国間の貿易紛争に関する合意を、今、損ないつつあるのではないか、と述べた。
 元大使は、二国間の貿易協定は一種の保護主義であり、貿易法の体系を複雑にしているといい、非加盟国の加盟国への反撃を引き起こすことや、原産地規則による取引費用の増大という問題もあると言及した。貿易をめぐる武力紛争は今でも起こりうると考えれば、多国間主義に基づく自由貿易を通じて、より深刻な紛争を回避すべきである、と元大使は述べた。そして元大使は、国連やWTOをはじめとする、その他多国間主義的な機関に代わりうる、持続可能な機関は今のところ存在しない、と締めくくった。
 次に寺田教授は、「無差別的」なWTOと「差別的」なFTAの違いを法的観点から説明、日本の農産物の関税の高さを示すことで関税撤廃を要求するFTAを米豪などと結ぶことの難しさを指摘した。さらに日本が進めるEPA(Economic Partnership Agreement)とFTAと違いを示し、EPAはより包括的で経済活動を促進する規制改革も含むものだが、大使の述べた日欧FTAはそれを上回る改革が必要であり、交渉は難航を極めるのではと述べた。FTAがWTOを侵食するという元大使の議論に関連して、4つの巨大市場(中国、EU、日本、米国)は、相互にFTAを締結していないこと、またFTAの原産地規則が複雑であるという理由で、輸出業者に十分に利用されていないことを挙げ、実際にFTAがWTOを侵食しているとは言えないのではないかとの反論を行った。
(文責:EUIJ早稲田 加藤恵美)


  20110516_C_MrStechow.JPG                             20110516_ProfTerada.JPG
アンドレアス・フォン・シュテヒョー 元駐タイ独大使    寺田貴 教授




20110516_venue.JPG                  20110516_W_MrStechow.JPG